第26章 極秘任務
「傑先輩、今日はずっと一緒にいよう」
「…え」
「私の部屋、行こう」
傑先輩の手を引きグッと力を込めれば、傑先輩はされるがまま足に力を入れ立ち上がる。
「…エナの部屋?」
「うん」
その顔は少しばかり困惑しているようにも見える。
「気を使わなくて大丈夫だよ」
「気なんて使ってないよ。それにこういう時一緒にいたいって思うのが恋人でしょ」
「…けれど」
「私が傑先輩と一緒にいたいんだよ」
傑先輩を、今は一人にしたくないんだよ。
不安に揺れるその瞳を。酷く傷付いたその心を。放ってなど起きたくない。
それは同情心や恋人という義務感などでは無い。ただ、傑先輩を思い自分の口から零れ落ちたそんな言葉。
傑先輩はそんな私の気持ちを理解してくれたのだろう。少し躊躇うような姿を見せたあと「本当に良いのかい?」とそう心配気に私の様子を伺うと「うん、一緒にいよう」とそう答えた私に、ふっと安心したような笑みを見せてくれた。