第26章 極秘任務
温かな手のぬくもり。
「…すぐる、先輩…?」
「目が覚めたんだね、良かった」
眉を垂れ下げ心配気にこちらを覗き込んでいるその人を見て、ボーッとしていた頭が一瞬にしてクリアになっていく。
「傑先輩っ」
私は上半身を勢い良く起こし夢じゃないよね?と、傑先輩の存在を確認するようにしてマジマジと見つめ、そこで自分の手が彼によって握られていることに気が付いた。
その温度が、傑先輩が夢では無く本物であることを表している。それはまるで先ほどまで見ていた夢そのもので。
「傑先輩怪我は!?」
眉間にグッとシワを寄せ慌てて先輩の身体中をキョロキョロと見渡す。
「私は大丈夫だよ、硝子に治してもらった」
「でも硝子先輩が怪我は治したけど、普通に立てる状況じゃ無いって言ってたよ」
「大丈夫だよ、頑丈だからね」
「でも!だって…っ」
そこまで言った所で、優しく握られていた傑先輩の手にぎゅっと力がこもった。
「大丈夫じゃないのはエナの方だろう。呪力の無理な消費で倒れたって」
「…それは」
「私を探そうとしてくれたんだって?七海と灰原から聞いたよ」