第26章 極秘任務
まるで水の中でゆらゆらと揺れる魚のようだ。
けれど辺りは冷たくて、そして無機質なように思う。
ここ、何処だろう。
色のない空間、温度のない場所。けれど何故自分がここにいるのかが分からない。
ずっと上の方を見上げる。水面に映る光が反射して、水底を照らす光。
大丈夫だよ
そんな声が聞こえたような気がした。
手先に体温が戻ってくる。グッと引き寄せられるようにして、水底にいたはずの身体が一気に浮遊する。
目の前に見えたのは大きくて温かな掌。
見覚えのある、私が安心できる温もり。
私はソレへと手を伸ばした。グッと力を込め、力一杯に伸ばす。
何故だかそれだけで、酷く安心した気持ちになれたのだ。
だってきっとこれは…