第26章 極秘任務
グッと拳に力を込め医務室を出て行こうとする私の肩をがっしりと七ちゃんが掴んだ。
「何処に行くつもりですか」
「盤星教」
「家入さんの話を聞いていましたか?それにあの二人がやられたような相手がいる場所に私達が行って何が出来るんですか」
「それはそうかもしれないけど!このまま待ってるなんてできないよ!!」
静かな医務室に私の大きな声が馬鹿みたいに響く。けれど次の瞬間、大きな声を出した反動か呪力を使い過ぎた私の身体はぐらりと揺れ目の前を真っ白にした。
今意識を失っている場合じゃないのに。
「エナちゃん!!」
雄ちゃんの叫び声だ。瞼を閉じる少し前、こちらを焦ったように見下す七ちゃんと雄ちゃんの顔が視界に映った。
今日は二人をこんな顔にさせてばかりだ。ごめんね…二人とも。らしくも無く取り乱す自分に嫌気がさす。けれど心は落ち着かないままだった。
こんな気持ちは初めてだった。
不安に心が押しつぶされてしまいそうなのも、心配でどうしようもい感情をかかえるのも。
…今まで知らぬ感情だった。
それは、今まで感じたこともないような不安感と恐怖心だった。