第26章 極秘任務
医務室が近づくにつれ、次第に早足になっていく。
どうか、どうかお願い…無事でいて…
目的の部屋のドアが見えた瞬間には、もう私の心臓はドドドドっと異様な速さに音を上げ軋ませていて、勢い良くその扉を開き私は大きな声を上げた。
「傑先輩!!」
静かな医務室に私の声が響く。けれど、そこに探し求めていたはずの人の姿はない。
「夏油ならいないよ」
代わりにいたのは報告書を書いている硝子先輩だけだ。
「え…どういう」
「傷はふさいだ。でもまだ起き上がれるレベルじゃないのにね、目を覚ますなり出て行ったよ」
「行くってどこへ」
「盤星教の所。五条を追いかけて星漿体の子を取り返しに行った」
理子ちゃんを取り返しに…
「夏油の目の前で殺されたらしい。私達が駆け付けた時には星漿体はもういなかった。それと五条も。外に大量の出血痕があったから五条も無事ではないはずなのに、いなかったんだよアイツ。それを知って夏油は目を覚まして早々出て行った」
「盤星教って何処にあるんですか!?」
声を荒げる私に、硝子先輩は珍しくものでも見るみたいに困ったような顔をする。
「アイツら二人がどこにいるかは特定出来ないと思う。都内に盤星教の奴らが所持してる建物がいくつあるか分からないレベルなんだ」