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【呪術廻戦】抱きしめた分だけ君を想う

第1章 無茶な恋




「はい、温まるよ。飲みな」



夏油先輩の手に握られていたミルクティーの缶が私の前へと差し出される。先輩はそれを受け取ったのを確認すると自分も私の隣へと腰をかけホットのブラックコーヒーを口にした。



「ありがとうございます…夏油先輩」


「いいえ」



優しく静かな声だと思った。「いいえ」というたったこれだけの短い返事にも関わらず、穏やかで温かく感じるのは何故だろう。



先ほどまでやけに冷え切った心を溶かしていくみたいに、先輩の声がやけに耳に残った。




その後もこんな状況で1人虚無感に襲われていると、何度か夏油先輩と出くわす事が多くあった。というよりも…こんな時ばかり先輩と偶然会う事が多かった。



普段学年が違うからというよりは、3年生になってからより一層忙しい夏油先輩と校舎で会うことはほとんどなくて、会うと言っても朝食堂で会ったり、時々グラウンドで体術訓練をしているのを見かける程度だったのに。ここ最近は私の情け無い顔を見られてばかりだ。



だけど先輩はそんな私に何か特別喋りかけるわけでもなく「お疲れ様」や「冷えるからそろそろ部屋に戻りな」と優しく言いいつも温かい飲み物を手渡してくれた。



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