第2章 夏油先輩の部屋
ゆっくりと瞳を開いた。
頭がガンガンと痛むのは、多分泣きすぎたせいだ。それなのにもかかわらず、少しばかり頭がスッキリとしているのはきっと心地の良い空間で眠りにつけたからだと思う。
そっと身体を起こせば、眠る前と変わらぬ空間が目の前に広がっている。初めて来たとは思えないほどに心地良く、そして良く眠れた。
私って意外にもかなり図太かったんだな。
そして気がつく。あれ?夏油先輩がいない。周りをキョロキョロと見渡してもいない。まぁ見渡すほども無い狭い寮の部屋なのだから、少し見ていないのならばどう考えてもここに先輩がいるはずもなく。一瞬にして不安な気持ちが押し寄せてくる。
どうしよう、私がベットを独占していたせいて先輩は出て行ってしまったのかもしれない。
夏油先輩に謝らないとと思い慌ててベットから飛び出そうとした時だった。
「起きたかい?もう少ししたら丁度起こそうと思っていたんだ」
「あ、先輩」
声のする方へと振り向けば、長い黒髪を下ろしタオルで頭を拭いている夏油先輩が目に入った。どうやらシャワーを浴びていたらしい。
良かったとホッとしたのも束の間、やはりいつまでもベットの上にいるのはおかしいと思い慌てて立ち上がる。