第2章 夏油先輩の部屋
備え付けの木製の机には参考書がいくつか置かれており、その隣には少し大きな本棚に沢山の本が並んでいる。うん、何だかとても夏油先輩らしい。だけどすごく難しそうな本が並んでいる中にも、数冊の漫画を見つけてそんな所に大人っぽい夏油先輩の高校生らしさを感じた。
テレビにはゲーム機が付けてあり、そういえば前に雄ちゃんが「夏油先輩の部屋が一番綺麗だから皆んなでよくゲーム大会するんだ!!」と言っていたのを思い出す。
うん、確かに夏油先輩の部屋はとても綺麗だ。特別物が少なくスッキリしているというわけではないのに、とても整頓されていて整っている。寮の部屋は狭い上に収納スペースもすごく少ない。だけど夏油先輩の部屋はそんなこと思わせないほどに過ごしやすそうな綺麗な部屋だった。多分、私の部屋よりもよっぽど綺麗だ。
「お茶で良いかい?」
「あ、はい。ありがとうございます」
キョロキョロと興味津々に周りを見渡していた私に、夏油先輩はローテーブルの前へ座るよう促すと、その目の前にお茶の入ったコップを置いてくれる。