第7章 不器用な優しさ
ゆるりと優しい笑みを作る夏油先輩に、私はいつも絆され甘えてしまう。
相手をこうして自分のペースに巻き込んで行くのが夏油先輩はとても上手いと思う。
何故なら、あぁこの人になら甘えても良いのかなぁと…そんな気持ちにさせてくれるからだ。
だからと言って、先輩に何もかもを任せて甘える訳にはいかないのだけれど…「先輩を立てると思って」などと言われたら断れるはずもない。
「よろしくお願いします…」
そう小さく呟けば、夏油先輩は嬉しそうに目尻を下げると「素直だね」と笑いながら私の頭をポンポンと撫でた。
「先輩はこれから任務ですか?」
「そうだよ、泊まりがけでね。3日は帰らないかな」
「3日は大変ですね」
「だから会えて良かったよ」
「え?」
「ふふ、何でもない。気にしないで」
首を傾げ夏油先輩を見上げる私に、先輩はニコニコとした笑顔を崩す事なくクイッと口角を上げた。小さな声であまり良く聞こえなかったけど…気にしないでと言われると余計に気になるな。でも本人が何でもないというならば、これ以上しつこく聞く訳にもいかない。
それよりもそうだ!私はまだ夏油先輩に助けてもらった時のお礼を言ってなかった!!あの時はしゃべるタイミングも無かったからすっかり言い忘れてしまってた。