第7章 不器用な優しさ
朝目が覚めると、五条先輩の寝顔を見ていたはずなのにいつの間にか眠っていたことに気が付く。
伏せられた色素の薄いまつ毛に白銀の髪が、朝日を浴びてキラキラと輝いて見えた。
枕元の携帯を確認すれば、今日も任務があるであろう五条先輩はそろそろ起きなくてはいけない時間で、寝る時と同様がっちりと私を抱きしめたままの五条先輩に小さく笑みをこぼしながらもゆっくりと上半身を起こした。
本当はこのままずっと先輩と眠っていたいけど…
「五条先輩、そろそろ起きた方が良いよ」
小さな声を出しながら五条先輩の肩を優しく譲れば、眉間にキュッと皺が寄る。お疲れなんだろうな…作り物のように信じられないくらい綺麗な顔にはうっすらと目元にクマがある。
「五条先輩」
二度目に名前を呼べば、薄らと開かれた瞼から碧色の瞳が微かにこちらを覗き込んだ。
「今日は任務?時間平気?」
私の言葉に眉間に寄っていた皺がさらに深くなり、もう一度瞳を閉じると上半身を起こしていた私の身体が突然グイッと強く引かれた。
「きゃっ」
突然の出来事に、もちろん身体のバランスを崩した私は再びベッドへとダイブする。