第7章 不器用な優しさ
こんな時間まで任務をこなして疲れているだろうに。それなのに私に会いに来てくれた事が何よりも嬉しかった。
身体の関係なしに、こうして抱き合い一緒に眠る事なんて普段ならそうない。何故ならこれは、私達の関係には不必要な行為だからだ。
私からしたら、これほどまでに嬉しい事なんてないのだけれど、だけど五条先輩からしたら今日の出来事は面倒な事だったかもしれない。
それでも後輩である私を心配して、こんな時間になってまで来てくれた事がどうしようもないほどに幸せだ。
「五条先輩、ここに泊まるの?」
「泊まる」
「誰か来たりしないかな?」
「俺の呪力感知なめてる?お前と違ってザルじゃねーの」
「一言よけいなんですけど」
ぷぅっと頬を膨らませ五条先輩の胸元へと顔を擦り付ければ、小さくケラケラと彼の笑い声が聞こえてくる。
「五条先輩…」
「んー」
「今日は助けてくれて…ありがとう。五条先輩と夏油先輩が来てくれなかったら、私達本当に死んでた」
「そうだな」
「先輩達の隣…を歩くのはちょっと厳しいかもしれないけど、だけど私達強くなるから。私、強くなるから」
「ん」
「見ててね」