第7章 不器用な優しさ
だけど、これは…私の為に怒ってくれているんだろうか。それとも勝手に自分の携帯をいじくられた事による怒りなのだろうか。
まぁそんな事聞けるわけないし、聞くような立場でもないのだが…そもそもどちらでも良いか。もうあの女の人と五条先輩が関わる事は無いのだと思うと、胸の辺りがスッと軽くなる。
でもそれと同時に、もし自分が同じような過ちを犯した場合…いつ私もその女の人のようになるか分からないのだと思うと、やはりセフレはセフレでしかないのだと思った。
私には、五条先輩の周りにいる女性に嫉妬する資格などない。
もちろんとやかく言う資格も、自分だけを見てほしいなどと言う資格も無いんだ。
「眠くねェの?疲れてんだろ」
「さっきまで寝てたから、全然眠くない」
「俺は眠い」
「くぁー」とあくびをする五条先輩は、学ランでここに来たと言う事は先ほどまで任務をしていたんだろう。
学生をこんな時間まで働かせるなんて、本当に呪術界は人手不足だしブラックだ。
瞳を伏せた五条先輩へと掛け布団をふんわりと掛ける。眠くは無いが私も布団へと入り五条先輩へと寄り添うようにして近づけば、先輩は私の腰元を引き寄せてくれる。