第6章 二人の最強
「雄ちゃん、雄ちゃんは怪我人じゃないけどベッドはあと二つあるからきっとここで寝ても怒られないと思うよ」
私の隣のベッドを指差しながら満面の笑顔で雄ちゃんを見つめれば、雄ちゃんは少しばかり何か考えたような素振りを見せると困った様に口を開く。
「うーん、一緒に寝てあげたいんだけど僕明日は早朝から任務なんだよ。ごめんね」
それはそれは申し訳無さそうに、そして困った様に呟く雄ちゃんに、何だかこれ以上無理を言えるはずもなく…私は今度こそ諦めたように口を閉ざした。
「一晩なんてあっという間ですよ、何があったら連絡して下さい」
「夕食後に様子見に来るね!それまでゆっくり寝てな」
ベッドから起き上がった七ちゃんを雄ちゃんが支える様にして歩き出すと、二人は少しばかり心配そうに私を見つめたあと「ばいばい、二人ともぉ」と悲しげな表情をする私に手を振りながら医務室を出て行った。
今夜は本当にここで一人きりか…
「はぁ…」
思わずそんな重たい溜め息が溢れ落ちる。仕方ないとはいえ怖いし寂しいしつまらない…そんな事を考えながら身体を起こしていた体制を変えて布団の中へと潜り込んだ。