第6章 二人の最強
「ちょっとエナちゃん笑っちゃダメだってば!」
「ふふっ…だって…痛ッ」
「肺に穴が開きますよ」
「七海怖い事言うなよ!」
私を挟んでわちゃわちゃとしている二人を見て、あぁ生きてて良かったな。なんてそんな事を思う。
特級呪霊に会って生きて帰って来れたなんて奇跡だ。
もし七ちゃんが一緒じゃなかったら…雄ちゃんも領域内に巻き込まれていたら…五条先輩と夏油先輩が助けに来れなかったら…そんな事を考えたらきりがないけれど、生きてて良かった…またこうして3人で笑い合えて良かった…
そして何よりも、あのままもし死んでいたら私の中にはきっと死んでも消し切れない心残りがあるから…
五条先輩との思い出が、他の女の人との情事後にその女の人から電話がかかって来て泣き喚いたなど最悪でしか無い。
せめて、死ぬ少し前くらいは五条先輩と笑っていたかったと思っただろう。
そう思うとやはり呪術師はいつ死んでもおかしくない仕事で、そしていつも後悔しない生き方をしていたいとそう思った。
いつ好きな人と離れ離れになるかも分からない。
後悔しない生き方で大事にしていることが恋愛事情だなんて、情け無いような気もするが…この真っ黒の世界の中で私が五条先輩を好きだと言うことはとてつもなく大事な事だから…私にとっては何よりも大事な事だから。