第6章 二人の最強
帳が上がって行く。晴れた空が顔を出し、寒くてツンと刺す様な風が私達を刺激する。
五条先輩は私を抱きかかえたまま。夏油先輩は七ちゃんを呪霊に乗せて、補助監督と雄ちゃんが待つ車へと向かう。
「エナちゃん!七海!!」
車が見えた頃にはこちらへと走ってくる雄ちゃんの姿が見えて、その今にも泣き出してしまいそうな顔を見て、彼に酷く心配をかけてしまったんだとそう思った。
「雄ちゃん」
「二人とも!!」
うるうると瞳を濡らす雄ちゃんは、私達のボロボロの姿を見て言葉にならないのか拳を握り締め震えた様に肩を揺らす。
「無事でよかった…ッ本当に…良かった」
「雄ちゃんは…怪我、してない?」
「僕は大丈夫だよ、何ともない」
「そっか、良かった…」
そして夏油先輩の呪霊から降りた七ちゃんは、夏油先輩の肩をかりながらよろよろとこちらへと歩いてくる。
「灰原、もしかして泣いてるんですか?」
「泣いてないよ!それよりも七海!歩いて平気なのかよ!」
「平気です、夏油さんに担がれるなんて嫌ですからね」
七ちゃんに肩を貸していた夏油先輩は、小さく笑いながら「七海はこんな時でも意地っ張りだなぁ」と呟いた後、五条先輩に抱えられている私へスッと視線を移した。