第6章 二人の最強
「ご、じょ…せんぱ」
口の中はカラカラで、切れた唇のせいか血の味がする。それでも震える様に絞り出した声は、私の大好きな人の名前を無意識のうちに唱えていた。
「まぁ、ここまで持ち堪えたなら御の字かな」
左右の五条先輩の小脇に抱えられた私と七ちゃんは、誰がどう見てもボロボロで…あと少ししていたら本当に死んでいたのでは無いかと思うと、恐ろしいほどに身体が震えた。
それでも今こうしてホッと胸を撫で下ろしていられるのは、ボロボロになった私達を見下ろしケラケラと笑っている五条先輩と。
「ほらよ」そんな掛け声と共に宙へと七ちゃんが投げ飛ばされる。
「おい悟、怪我人を投げるなよ」
「げと…せんぱい」
大型呪霊の背に乗り、飛ばされた七ちゃんを軽々と片手で受け止めた夏油先輩がいるからだ。
五条先輩と夏油先輩が私達を助けに来てくれた。
目の前にいたはずの、白黒の特級呪霊の姿はとうに居なくなっていて…あの時の爆音と爆発で一体二人が何をしたのかなど聞かなくても分かった。
これが…私達と先輩達の違いだ。
そこには越えることの出来ないほど高い壁が聳え立っていて、そしていつだって私達からはかけ離れた強さを持つ存在。