第6章 二人の最強
私と七ちゃんの動きはほぼ同時だったと思う。
私は唇を噛み、そして七ちゃんは鉈で指先を切り緊張と恐怖で震える身体へ痛みという刺激を与えて身体を動かした。
どうせ死ぬならやってやろうじゃないか。
多分そんなアホみたいな衝動と、呪術師としてのちっぽけなプライドからだったんだと思う。
太腿に付けていた小さなポーチから鉄の玉を二つ取り出すと、その一つを特級呪霊目掛け勢い良く投げる。
その私の動きに合わせるようにして七ちゃんは呪霊の背後へと回ると、鉈を勢い良く振り下ろした。しかしそれは呪霊の身体を貫くどころか食い込む事すらなく、ギョロリとした目を移動させ七ちゃんを睨み付けるとニヤリと笑みを作り七ちゃんの腕を切り裂いた。
瞬時に避けたものの、完全にかわす事など不可能なほどのスピード。それは恐ろしいほどに早く目視で確認する事など到底無理だ。
しかし怪我を負う仲間に一瞬でもその動揺を見せれば、それこそ今すぐにでも私達は死というモノを受け入れるのも当然で、次の攻撃を繰り出すべく呪霊へと鎌を投げ飛ばすが、それはいとも簡単に弾き飛ばされそして呪霊は私の腕を掴むと軽々と投げ飛ばした。