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【呪術廻戦】抱きしめた分だけ君を想う

第6章 二人の最強





恐怖で吐きそうだ。


指先ですら少しも動く事は叶わないのに…それとは対照的に尋常じゃ無いほどの冷や汗が背中へと垂れていく。



ゆっくりと視線を持ち上げた。それは細心の注意を払いながら、それでいて確認せずにはいられなかったからだ。




目の前には白と黒のギョロリとした目が印象的な特級呪霊が立っている。



口元はニヤリと口角を上げていて、呪いだというにも関わらず、それはそれは心底楽しそうに笑っているのが分かった。




あぁ、そうか、私達を見てどうしようもないほどにこの呪霊は心踊っているのかもしれない。もうすぐ訪れる目の前の人間達の【死】に。




哀れなほどに滑稽で弱くてどうしようもない私達に。




「ふっ」




そんな声が聞こえてきたのは、私の少し前に立っている七ちゃんからだ。私はそれに驚き目を見開くと、彼の横顔を見てさらにその瞳を大きく開けた。




何故なら、目の前の七ちゃんは笑っていたからだ。呪霊の方を見て、どうしようもないなというように口角を上げて可笑そうに笑っていたからだ。




「本当に、呪術師はクソだ」





白い菊の花畑に立つ特級呪霊が、これでもかというほどに異質な存在に見えて仕方なかった。けれど…きっとこの場所に立っている私達こそ異質な存在なのだろう。




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