第6章 二人の最強
呪霊の領域内
しかしここは、恐らく未完成の領域。その証拠に、辺りの景色は時折ガサガサとまるで途切れた映像のようにして景色が一瞬歪んでいる。
「雄ちゃんはっ!?」
ハッとしたようにしてそう声を上げれば、七ちゃんは私の方へと冷静な声を落とす。
「恐らく、この領域には巻き込まれていないでしょう。未完成なところを見るにそこまで広い範囲を巻き込んだとは考え難い」
「そっか、それなら良かった」
ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、七ちゃんが険しい顔付きのまま辺りをぐるりと見渡す。
「問題は私達です。未完成ではありますが、領域を展開出来るほどの呪霊となると間違いなく特級レベル。灰原が何らかの変化に気が付いて助けを呼んだとして、私達がそこまでもつかどうか」
七ちゃんがそう口にした瞬間だった。
ゾクリとするような感覚、そしてピクリとも動かない身体。
頭の先から爪の先まで、全部が私達をまるで縛り付けるようにしてその場から1ミリたりとも動けない。
呪術か…呪いか…
いや、違う、これは恐怖だ。
恐ろしいほどの恐怖と緊張と
そして【死】を意識した瞬間。