第6章 二人の最強
「…ん」
身体にかかる微かな重み。
温かくて優しい香りもする。
重たい瞼をゆっくりと開けうっすらと瞳を開けば…目の前の光景に思わずパチパチと数度瞬きをした。
あぁ、そうか私…昨日は夏油先輩の部屋に泊まったんだ。
目の前には瞳をとじて、すーすーと気持ち良さそうに眠っている夏油先輩の姿。
キリッとした眉に切長な瞳は閉じていても良く分かる。綺麗な黒髪はサラサラとしていて少し乱れていて、きめ細やかな肌が羨ましいほどに綺麗だ。
夏油先輩の顔をこんな間近で見つめた事などないけれど、やっぱり凄く整っている。それでいて優しいんだから…うん、モテるのも文句なしに納得だ。
夏油先輩の乱れていた横髪を整えるようにして撫でれば「ん…」と小さな声を吐き出し眉間に皺が寄る。テレビ前のデジタル時計に目をやればそろそろ起きなくてはいけない時間だ。夏油先輩は私よりも1時間集合時間が早かったはず。
「夏油先輩、そろそろ起きて下さい」
小さな声でそう声をかければ、私の腰に回っていた腕にギュッと力がこもった。