第5章 4話 強くなりたい。
エマちゃんと一緒にお揃いコーデみたいにして渋谷へ行った。
プリクラも撮ったし、カフェでケーキを食べたりと幸せいっぱい!
遊び尽くしたのでそろそろ帰ろうか、という話しになり兄に連絡をし、エマちゃんを先に送ろうと一緒に歩いていたら声を掛けられていた。
「げ、ナンパ?だるっ。無理なので!」
エマちゃんは無視無視!と決め込み、早く帰ろ!と私の手を引いてくれた。
しかし、ナンパもしつこいようでめげずに話しかけてくる。
私もエマちゃんに着いていこうと思ったが、ふと足が止まった。
「すず!?」
驚くエマちゃんの後ろを向いてナンパの人を見た。
「お!?そっちのかわいこちゃん、もしかして俺と一緒にデートに付き合ってくれるとか!?」
ナンパさんはニヤニヤしながら私に近付いてくる。
距離が近くなったとたんに私は覚悟を決めた。
ズガッ!
「っっ!!!!」
私はナンパさんの股間めがけて思いっきり足を振り上げた。
見事命中したみたいで、地面に蹲っていた。
成功した!!
『エマちゃん!私っ出来たよ!!見てた!?』
唖然としてるエマちゃんに話しかけると、手を引かれて引っ張られる形でエマちゃんの家まで行った。
「もう!見てるこっちはすんごいヒヤヒヤしたんだから!…でも、無事で良かった!ありがとう!」
ぎゅっとされながら怒られた。
『えへへっ、私も強くなれたの!万次郎くんにも後でお礼言わなきゃ!』
そうこうしていると、バイクの音がして兄だと気付いた。
『けーちゃーん!!』
手を振るとニヤっと八重歯を除かせていた。
「おー。てか、めっちゃ可愛いじゃん!しかも化粧もしてもらってるし!変なやつとかはいなかったのか??」
『いたよ!ナンパさん!』
「は!?」
一気に眉間に皺がよるのが見え、不機嫌になる兄。
『でもね、撃退出来たの!頑張ったでしょ!?』
「え?お前がか?」
信じられないという目で見てくるが本当なのに。
『万次郎くんに教えてもらってね、ナンパさんの股間を蹴ったの!そしたら、しゃがみこんじゃってね!エマちゃんと逃げてきたの!!』