第8章 7話 ☆いつだって君は可愛い
「なぁ、すずちゃん。俺だって男なんだぞ。」
千冬から借りた漫画を読んでゴロゴロしていると、急に押し倒されて顔を近付いてきて思わずビックリした。
千冬って、まつ毛長い…
それに前髪から覗く猫目の瞳も綺麗…
さっきの漫画の王子様みたいだなぁ、なんて思ってたら恥ずかしくなってきた。
『ど、どういうこと?私だって千冬が男の子だって分かってるよ?』
「あのなぁ、そういうことじゃねぇし。本当に天然もいうかここまでくると馬鹿なのか…」
頭をガシガシかきながら千冬は近づいてきた。
ボーッと見惚れていると、ほっぺたにちゅっ…というリップ音。柔らかくて暖かい温もりを感じ、それがキスだと気づいた。
『え!?ち、ちちち千冬!?な、何でちゅ、ちゅうしたの!?』
頭の中はもう爆発してもおかしいくらいの情報量でいっぱいになる。
「今はほっぺだけだけど、次はここだからな!」
唇を指差されたことに、思わずまた顔があかくなる。
『は、はい…』
動揺しすぎて思わず返事しか出来なかった。
もしかして、漫画と一緒…!?
『あの、もしやとも言えるんだろうけど…千冬って私の事す、っん!』
全てを言い終わる前に、千冬が今度は唇にキスしてきた。
「全部言うなって…次はここ、って言ったろ。すず。」
大人っぽく感じる千冬を見つめることしか出来ない私。
もしかしたら私の思ったことと一緒なのかもしれない。