第5章 4話 強くなりたい。
マイキーside
寝ていたところをエマに起こされ、開いた襖を見た視線の先にはすずがいた。
え?何でいんの?
エマが約束でもしたか?
と不思議そうにしていると、エマは俺の服を掴んで揺らしてくる。
お願い!と話すエマの話を聞くことにした。
すると、こないだのナンパ事件の話だった。
もう終わってんじゃん…と思いながらも続きがあるようで、更に話を聞くとそうきたか!と思うしかなかった。
考えが場地そっくりなんだよな、ほんと。
本当はしてあげたくはない。
だってさ、怪我なんてさせたくないし、ましてや他のメンバーに怒られたくもない。
確かに道場通ってたから基礎は出来るかもしれないけど、実践で使えるかなんて考えたら使えないと思う。
場地と違ってセンス無いから。
説得するためにもとりあえず、道場へと足を踏み入れることにしてみた。
すずは足音を聞くと振り返って俺を見た。
『あの、万次郎くん…ごめんね。無理言っちゃって…。』
気まずそうに見上げるすず。
「いいよ、別に。たださ、聞かせてよ。そんなにさすずが強くなる理由ある?」
空気が少しビリっとしてしまったけど、しょうがない。
『…私、ただ守られてるだけじゃ嫌なの。いつもそうだった。圭ちゃんとか東卍の皆が助けられてたことに気付いてなかった。本当は皆のことを守りたいけど、きっとさせてくれないよね?創設メンバーなのに。だから、せめて自分の身は自分で守りたいの。…駄目かなぁ?』
真っ直ぐな想いに思わず心が揺さぶられた。
でも、伝えるしかない。
「すずの気持ちはよく分かった。俺らのこと考えてくれてありがとな。
…でも戦うことは教えられない。」
『!?何で!?』
「お前が戦ってくれたとして、何かあったときどうする?こないだだって、ぺーやんが居たからああなっただけ。逃げられなかっただろ、すず?」
『…うん。それは分かってる…っでも!「代わりに違うの教えてあげる!」
すずは目を見開き驚いていた。
ちょっとまぬけにみえてしまうのも愛嬌なんだよな。
思わず笑ってしまった。
流石にそんなやつを泣かしちまうほど、俺だってひどくねぇし。
出来る程度のことは教えてやるか!