第4章 3話 ☆どこの家だって兄妹喧嘩もする。
部員さんとぺーくんも帰ると家庭科室には私とたかちゃんだけ。
『…さっきはごめんね、たかちゃん。』
ポツリと話したのに思っているより声が響いた。
「別に気にしてねぇよ。それよりもお前は大丈夫なのか?」
気まずそうなたかちゃんと目が合う。
『大丈夫…って言うにはちょっと怖いけどね、私も駄目だったんだなって気付けたんだ。』
「そうか。それなら良かった。知らないやつには絶対に着いていくなよ。」
『うん、分かった。たかちゃんもありがとね。』
弱々しく笑うとたかちゃんは椅子から立って私の方まできてぎゅっとしてきた。
「心配した。そんな格好しても可愛いもんは可愛いんだ。自覚しろよ?」
そう囁いてくるのでキュンとした。
私もたかちゃんを抱きしめ返した。
離れるとふと兄の存在が頭をよぎった。
『た、たかちゃん…あのね、私圭ちゃんに謝らないとなの。一緒に来てもらってもいいかな?…あ、でもルナマナちゃんのとこに行かないとだよね?私1人でかえ「俺が場地のとこまで送るから。」
あたふたしていたものの、たかちゃんの言葉に目を丸くした。
いいの?
『…ありがとう!』
お言葉に甘えて一緒に帰ることにした。
たかちゃんは優しいよね!
もちろん、ぺーくんも私のために考えくれて優しい!
夕日を背中にして歩いて、無事にマンションの扉の前に来た。
ドアを開ける手を躊躇っているとガチャっと扉があき、兄と目があった。
「すず!!心配したぞ!…ってどうした?」
目が赤くなっているのをみて何かを感じ取ったみたいだ。
たかちゃんがこれまでのことを話すと兄は眉毛を吊り上げながら怒っているのが分かった。
そして、なんとたかちゃんを殴ったのだ!
これには私もビックリした。
『え?圭ちゃ「いいんだ、妹を思う気持ちは痛ぇほど分かるから。」
そう話すたかちゃんは笑っていた。
その後は兄も悪かったな、ありがとなと感謝して別れを告げていた。