第1章 戯れ
出窓に腰を掛けていた
華影(はなかげ)と呼ばれた女は
立ち上がると障子を開き
去っていく
『………相変わらず、自信過剰な女ね』
華影(はなかげ)はその場を去りながら
蔑むように、吐き捨てるように
蕨姫のいる部屋を睨んだ
『所詮、妓夫太郎の力に頼る
情けない馬鹿な醜女がねぇ…ふふっ』
口元を着飾った着物の袖で覆いながら
鈴が転がるように嘲笑った
彼女は一頻り嘲笑った後
自身の部屋へと戻った
『さぁて…鬼狩り共の
監視にでも行こうかしら』
唇を一周、舌でなぞる
つけた真っ赤な紅の味がして
唾を吐き出した
取り敢えず、女将さんの所にいかないと