第1章 戯れ
『さぁ…蕨姫。オマエの元へと鬼狩りが
……ひぃ、ふぅ、みぃ、よぅ……
四人来たぞ。一人は…そう、柱ね』
欲の色めく夜の街、吉原遊郭
京極屋の一室にて、二人の花魁が居た
そのうち一人の花魁は
部屋の出窓に腰を掛け
煙管を持っている
羅字に指を添えながら
気味の悪いほどに
美しい三日月を見上げる
月明かりに照らされるその顔立ちは
異様なほどに整い
その浮世離れした容姿で
花街へと通う男達を虜にした
「大丈夫です、華影(はなかげ)花魁。
私が全員殺してみせます」
そう言うのは、もう一人の花魁
こちらも美しい出で立ちの花魁だ
不敵に微笑み
その姿は美しくも、恐ろしかった
『……期待しているわ、蕨姫。
くれぐれも、しくじらないように。
オマエは、美しく、強い。
私はオマエを妹のように思っているぞ』
今宵も花街は動き続ける