屈強なおまわりさんにめちゃめちゃに甘やかされているのですが。
第2章 陽だまりと闇
ガチャ
「失礼する。局長、この資料に判をいただきたい。」
「あ、ミツルギちゃん。ご苦労サマ。」
ミツルギは、この男のことが少しニガテであった。
もちろん、捜査官としては、心から尊敬している。
しかし時折、吸い込まれそうな闇を感じるのだ。
…ヒトリナメオが、彼のコイビトだと言った時、まるで正反対だと思った。
陽だまりの彼女に対し、局長はそう、闇だ。
彼は深い闇を抱えている。私でもわかるくらい、だ。
…どうやって、彼女を手に入れたのか。
「…ちゃん。ミツルギちゃん。」
「!…失礼した。」
「どうしたの?ボクを凝視して考え込んで。」
「いや、何でもないのだ。…これで失礼する。」
「あ、待って。ミツルギちゃん。」
席を立ち、怖いくらいにニコニコしながら近づいてくる局長。
「この前、君を見かけたよ。デパートのホワイトデーコーナーで。」
「!」
メオさんとの買い物、見られていたのか…
「隣の女の子、可愛かったね。今度紹介してよ。ボクにさ。」
全てわかっているクセに。末恐ろしい人だ。
「…彼女はいい友人だ。それ以上でも以下でもない。」
「ふぅーん?…彼女と何してたの?」
彼女の精一杯のサプライズを、私からバラすわけにはいかない。
「…私の買い物に付き合ってもらっただけだ。」
「へえ。そうなんだ?」
笑っているが、目は言っている。
『ボクのモノに手を出すな』と。