屈強なおまわりさんにめちゃめちゃに甘やかされているのですが。
第1章 馴れ初め
「あああーーー疲れたぁ」
なんとか今日の授業は全部終わり。
…ほぼ寝てたけど。うん。気にしない気にしない。
でも、実は寝坊しても頑張った理由がある。
「メオちゃーん!!」
「ヒナさん!!!」
そう、彼女との約束だ。
ヒナさんはお母さんのおそらく知り合いで、お母さんのお葬式で出会った。それから、まるで姉のように良くしてもらっている。
今日は街に新しくできたパンケーキ屋さんに行くのだ。
「ここ行くのずっと楽しみにしてたんです〜!ヒナさん、ありがとうございますっ♪」
「ううん〜、私もちょうど来たかったの!メオちゃん美味しそうに食べるから奢りがいがあるわ〜(^^)」
「えへへへ〜」
こんな具合にヒナさんには甘えまくっている。
「そういえばメオちゃんさ」
「なんですか?」
「メオちゃんって、好きな人いないの??」
「!?」
思わず吹き出す。
「どどどどうしたんです急に!?」
「いや、単純に気になって〜、だってメオちゃん、可愛いのに全然そーゆーのないなって」
「そうですね、残念ながら…」
男の人と付き合ったことはなくはないが、今はフリーで、好きな人もいない。
「そっかぁ…じゃあじゃあ、好みのタイプは?」
「そうですね…」
考えたことなかったな…
チャリーン
その時、店の扉が開く。
新しいお客さんだ。
可愛い店内にはあまり似つかわしくない、オレンジのスーツに身を包んだ屈強な初老の男性が入ってくる。
その男性のあまりの似合わなさに、つい、ジッと見つめる。
わっ、目があっちゃった。
慌てて目を離す。
「…もしかして、あの人みたいな人が好み????」
そっと聞いてくるヒナさん。
「ふぇっ!?!?ち、違います!!そういうのでは…!!」
「ふぅん?そうなんだぁ??」
ニヤニヤ見つめてくるヒナさん。
なんで見つめてるだけで好きとなるのか…
その後のパンケーキは、なんだか味がわからなかった。
それにしても、あの人、どこかで…