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999本の薔薇〈進撃の巨人〉

第8章 Rose



 リヴァイはローズの体を横たわらせた。
 これから起こることを考えると、そうした方がいいような気がしたのだ。

 ローズは日の光を全身に浴びていた。こうして見ると、ただ日向ぼっこをしているだけのように見える。
 だが、彼女が再び起き上がることはない。それがリヴァイが最もよく知っていることだった。


「ローズ」


 そのとき、ローズの体がわずかに動いた。
 胸がぐっと持ち上げられ、そこから何かが生まれようとしている。そこから何かが首をもたげようとしている。
 リヴァイは黙ってそれを待った。辛抱強く待ち続けた。

 やがて、皮膚を、服を突き破り、それは現れた。


「──薔薇」


 血をまとい、鮮やかな赤を日に照らされながらそれはついに咲いた。
 みずみずしい薔薇だった。息を呑むほど美しい薔薇だった。
 日を少しでも浴びようと太陽をじっと見上げている。


「お前が、ローズの中にいたのか」


 こっちの気持ちなんか知らず、それは咲き誇る。
 そうして、ローズの体という体から薔薇が咲き始めた。まるで合図を待っていたかのように。


「ローズ」


 名を呼び、手を伸ばす。
 もう、ローズに触れることはできなくなってしまった。この薔薇の大群をかき分けることはきっと難しいだろう。


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