第7章 Odontoglossum
食器同士がぶつかる音と水音が部屋の中に響いていた。ローズがシンクの前に立って片づけをしていたのだ。背中にリヴァイの視線が突き刺さる。リヴァイはローズの行動を見守るようにローズを見つめていた。
手についた水をタオルで拭い、エプロンを外す。振り返るとしっかりリヴァイと目が合った。
「リヴァイ。そんなに見つめられたら穴が空いちゃうわ」
「誕生日なら、プレゼントが欲しい」
リヴァイはしばらく迷うような素振りを見せたあと言った。ローズは瞬きをして向かい合うようにして椅子に腰掛ける。
「プレゼント? もちろん。あたしがあげられるものなら」
リヴァイは目を泳がせた。テーブルの上で組んだ手を見下ろして、木目を視線でなぞり、意を決してローズの顔を見た。ローズは励ますように微笑んだ。
リヴァイは手を伸ばし、ローズの手に自分の手を重ねた。リヴァイの手は緊張で汗ばんでいた。彼にしては珍しく、熱い手だった。
「俺と、ずっといっしょにいてほしい」