第7章 Odontoglossum
「だからって、うふふ、同じ花って。しかも色までいっしょ」
ローズは戸棚から花瓶を取り出し、そこに水を汲んだ。リヴァイに渡すと彼はそれを丁寧に飾る。リヴァイの耳は照れで赤く染まっていた。
「ねぇ、リヴァイ。このお花の花言葉、知ってる?」
ローズの問いかけにリヴァイはすぐに首を横に振った。ローズは優しく微笑んで花弁に触れた、
「“特別な存在”」
リヴァイはぴたりと動きを止めて花とローズを見比べる。口をはくはくと開け閉めして、次の瞬間みるみる顔を赤くさせた。首まで真っ赤だ。
「誕生日おめでとう。リヴァイ」
「誕生日……俺の、あぁ、そうか」
リヴァイは驚いたように呟いて目を細めた。何度も「誕生日」という言葉を口の中で反復する。じわじわとその言葉の意味が彼の中に染みていく。
「さぁ、夕飯を食べよう。リヴァイ。今日はあなたの好物を作ったのよ」
「……うん」
嬉しさを噛み締めるように頷いて、リヴァイとローズは揃って椅子に腰掛けた。あたたかなシチューとパンが二人の前で湯気を立てていた。