• テキストサイズ

999本の薔薇〈進撃の巨人〉

第5章 Big blue lilyturf



 息を吸い込み、ローズは瞼をこじ開けた。


「っ、はぁ、はぁ、はぁ、」


 荒い息を繰り返し、自分が涙を流していることに気がついた。
 瞬きをして、辺りを見渡す。


「……リヴァイ」


 そこはローズの部屋で、すぐそばでリヴァイが椅子に座ってうたた寝をしていた。気を失ったローズをベッドまで運んでくれたのだろう。
 あれから、どれだけの時間が過ぎたのかはわからない。ただ喉が異様に乾いていた。


「ローズ……?」


 ローズの声で目覚めたのか、ぼんやりとした声でリヴァイは言った。
 目がパチリと開いて、視線がぶつかり合う。


「ローズ!」


 ローズが起きたことを理解すると、彼にしては珍しく大きな声を出した。腕が伸びて強く抱きしめられる。
 リヴァイの体は小刻みに震えていた。


「よかった……もう、目覚めねぇかと」


 リヴァイはローズの肩に顔を埋め、吐き出すように言った。
 その背中に手を回し、優しく叩く。


「急に倒れてごめんね」


 静かに目を閉じた。
 さっき見た夢は現実にあったことだった。そしてあれは、ローズの未来でもあった。


「そんなに体調が悪りぃなら医者に──」

「ううん。お医者さんはいらない」


 そっとリヴァイを離し、彼の顔を正面から見た。
 目の前で倒れてしまった以上、隠し事はできない。それに、いつああなるかわからない。だから、ちゃんと話しておかなければいけないと思った。


「リヴァイ、聞いて。話さなきゃいけないことがあるの」


/ 77ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp