第5章 Big blue lilyturf
息を吸い込み、ローズは瞼をこじ開けた。
「っ、はぁ、はぁ、はぁ、」
荒い息を繰り返し、自分が涙を流していることに気がついた。
瞬きをして、辺りを見渡す。
「……リヴァイ」
そこはローズの部屋で、すぐそばでリヴァイが椅子に座ってうたた寝をしていた。気を失ったローズをベッドまで運んでくれたのだろう。
あれから、どれだけの時間が過ぎたのかはわからない。ただ喉が異様に乾いていた。
「ローズ……?」
ローズの声で目覚めたのか、ぼんやりとした声でリヴァイは言った。
目がパチリと開いて、視線がぶつかり合う。
「ローズ!」
ローズが起きたことを理解すると、彼にしては珍しく大きな声を出した。腕が伸びて強く抱きしめられる。
リヴァイの体は小刻みに震えていた。
「よかった……もう、目覚めねぇかと」
リヴァイはローズの肩に顔を埋め、吐き出すように言った。
その背中に手を回し、優しく叩く。
「急に倒れてごめんね」
静かに目を閉じた。
さっき見た夢は現実にあったことだった。そしてあれは、ローズの未来でもあった。
「そんなに体調が悪りぃなら医者に──」
「ううん。お医者さんはいらない」
そっとリヴァイを離し、彼の顔を正面から見た。
目の前で倒れてしまった以上、隠し事はできない。それに、いつああなるかわからない。だから、ちゃんと話しておかなければいけないと思った。
「リヴァイ、聞いて。話さなきゃいけないことがあるの」