第4章 Petunia
のそのそと寝間着に着替え、ベッドの中に潜り込む。
どうやら夏風邪を引いてしまったらしい。季節の変わり目ごときにやられるとは思っていなかった。
毛布を顎まで引っ張ってまた咳を出す。体は重いし、頭はガンガンと痛む。今朝よりかなり悪くなっているのがわかった。
「リヴァイ、入るよ」
コンコンと控えめなノックが聞こえた。
ん、と辛うじて声を出すと、トレイを持ったローズが部屋に入って来た。
「昨日のシチューにふやふやにしたパン入れたの。お腹空いてなくてもゆっくりでいいから食べてね」
上半身を起こすのを手伝ってもらい、膝の上にトレイが乗る。
そこにはほかほかと湯気の立つ良いにおいのシチューがあった。そのにおいを嗅ぐと、腹がちいさくきゅるると鳴った。
その音を聞き、ローズはクスッと笑った。
「一人で食べられる?」
「いける」
「いつでも手伝うからね」
「いい」
なぜか面白がっているようなローズに、リヴァイはむすっと言い返す。
「じゃあまた来るから。ちゃんと食べて寝とくんだよ?」
「……うん」
瞬きをする。柔らかな手が頭に乗った。優しく優しく撫でられる。子ども扱いされているのはわかったが、それを振り払う気は起きなかった。