第2章 珍カップル、有名になる
昼休み。
屋上で二人並んでご飯を食べる。
彼は相変わらずパンを食べていて、私は自分で作ったお弁当を食べている。
「大寿君はいつもパンなの?」
「別に毎日ってわけじゃねぇ」
大寿君はパンを男らしく齧りながら、こちらを見ずに答える。
ぶっきらぼうの割に、大寿君は必ず聞いた事には答えてくれる。
うん、優しい。
私はお弁当のおかずを口に運ぶ。大寿君はパンを食べ続ける。
沈黙なのに嫌な空気じゃなくて。
「おかず、食べる?」
言うと、こちらを向いた大寿君と目が合う。
しかし、私の視線は大寿君の目から、口元に移動する。
「ふふ、口にお弁当付いてるよ」
言って口元を触る大寿君が、違う場所を探す仕草に悪戯心が湧いて来て、膝に置いていたお弁当を下に移動させて膝立ちをする。
大寿君の肩に手を置いて、顔を近づける。
大寿君は驚いているものの、特に動く様子もないから、自らの唇で大寿君の口元に触れる。
「はい、取れたよ」
笑う私に、大寿君の眉間のシワが深くなる。
最近知った事は、これは怒ってるのではなく、照れているのだと。
現に、耳が赤い。
「人で遊ぶんじゃねぇ」
「へへへー」
「ヘラヘラすんな」
「いひゃい……」
両手で頬を摘まれる。
こういう時間は、何かいい。
他のカップルがどう過ごしていて、どう過ごすべきなのかは分からないけど、私達はこれでいいのかもしれない。
お弁当を食べ終えて、休憩しながら空を仰ぐ。
隣では、大寿君がスマホを見ながら大きな欠伸をしている。
「おぉー、男子の夢と噂の膝枕ですね?」
「何だそりゃ」
大寿君が大きな体を倒して、私の太ももに頭を乗せて寝転んだ。
程よい重みを感じながら、風に揺れる大寿君の髪に指を滑らせる。
「大寿君の髪フワフワだねー」
目を閉じていた大寿君の目がゆっくり開く。
吊り気味の鋭い目が私を見る度に、ドキドキするのとはまた別の何かが体を走る。
顔だけを私のお腹側に向け、眉間に皺を寄せた。
「……お前、スカート短くねぇか?」
「そう? 普通だと思うけど。みんなこんなものじゃない?」
大寿君が摘んだスカートの反対側の裾を摘み上げる。