第5章 珍カップル、我が道をゆく
拒否を表すように、顔ごと逸らす。
「怒ってんのか? 黙ってちゃ分かんねぇだろ」
腰に両手が回され、顔が近づくのが分かる。
「……なぁ、言えって……」
「んっ……」
頬に手が添えられて、反対側の耳と首の付け根辺りに口付けられ、低い声が響くのと相まって、私の体をゾクリとさせた。
大寿は本当に私を甘やかすのが上手い。
こんな甘く溶かされちゃったら、言う事を聞くしかなくなってしまうじゃないか。
「……この間、可愛い女の子の頭撫でてたの、誰? 仲良さそうに、校門の所で話してた……オシャレでセーラー服着てた子」
自分はもうちょっと余裕があって、ヤキモチなんて妬かないと思っていたのに。
考えるみたいに難しい顔で空を仰ぐ大寿が、突然吹き出した。
「あはははっ! クククっ、お前は可愛いなっ……」
「何で笑うのっ!? こっちは真面目にっ……」
頭をくしゃくしゃとされ、意味が分からず大寿に抗議する。
「ヤキモチは嬉しいがな、残念ながらそれは誤解だ。アイツは妹だ」
「……へ?」
ベンチから立たされて、地面に座り込む大寿の膝に跨るように座らされる。
「お前もヤキモチとか焼くんだな……そんなに俺が好きか?」
意地の悪い笑みで笑う大寿に、肯定するように私は触れるだけのキスをした。
「好き」
「俺はお前しか見てねぇから、変な心配すんじゃねぇ。分かったか?」
「うん……ごめんなさい」
「お前、案外自分に自信ねぇとこあるよな」
「そりゃぁ、まぁ……特に何の特徴もない、地味女なので」
メガネが奪われ、顔中にキスが降るのを目を閉じながら受け入れる。
「その地味女に俺は夢中で、ここもこんなになっちまうんだがなぁ……」
腰を引き寄せられ、下着越しに固いモノが当たる感触。
擦り付けるみたいにして、ゆっくりとした動きで腰を揺らす大寿に、体が熱を帯び始める。
「ぁ、大寿っ……」
何度もキスを繰り返しながら、制服の中に手が入って来る感触を感じながら、身を捩って快楽に身を委ねた。
そこからまた数日後、私は最近よく大寿の家で目覚めて、ご飯を作る事が増えていた。
今日もご飯を作る為に、無駄に大きなキッチンに立っている。
眠る大寿を起こしに行こうとキッチン出ると、扉が開いた。