第5章 珍カップル、我が道をゆく
サメのイメージと大寿のイメージが重なる部分がたくさんあって、お土産屋さんでついサメの大きなぬいぐるみを手に取る。
「何してんだ?」
「これ、買おうか悩んでるの……。あのね、肌触りがもう最高だし、何より可愛いのっ!」
愛らしいクリクリの目に、サラサラの生地で柔らかさも抱き心地も大きさも丁度よくて、抱きしめている今も離すのが惜しくなってしまっている。
私が唸りながら抱きしめていると、腕の中にいたサメが姿を消す。
「あっ……」
「貸せ。そこから動くなよ」
大寿に取られて悲しみに暮れていると、何処かへ行ってしまった。
一人にされて少し不安になりつつ、言われた通りにまっていると、大きな袋を下げた大寿君が戻ってくる。
「もう買うもんねぇか?」
「えっと、あっ、ちょっと待ってて。次は大寿が動かないでねっ!」
呼び止める声をスルーして、私は最初から目をつけていた物を手に取ってレジへ向かう。
受け取った袋を持って、大寿の待つ場所に戻ると、たくさんある可愛らしいぬいぐるみ売り場の前に立つ大寿が、妙に可愛くて笑ってしまう。
「お待たせ。さぁ、しゅっぱーつ」
大寿の空いている手を取って、店を出る。
少し離れた場所にベンチがあり、そこで二人並んで座る。
私は先程買った袋から、品物を取り出す。
「はい、プレゼント」
私が買ったのは、シルバーのシンプルなデザインのサメが付いているペアのキーホルダーだ。
もっと実用的とか、高い物の方がいいのかとも思ったけど、一目見て私の中の直感がこれだと言ったのだ。
「ペアで持つんだって。お揃いは、嫌?」
大寿はキーホルダーを持ったままフリーズしていて、反応がないから少し不安になってきた。
こういうのをする人じゃないかもしれないし、好きじゃない人もいるから、もし断られたら私はこれをどうするべきか。
「迷惑だったかな……。思い出っていうか、何か二人で持ってたくて……」
「いや、迷惑じゃねぇし、嫌でもねぇよ。こういうのした事ねぇだけだ」
よかった。変に緊張してしまったじゃないか。
キーホルダーを少しの間見ていた大寿は、大きな袋を探っている。
「おら、欲しかったんだろ」
「おぉーっ!」
先程、私が買おうか迷っていたサメのぬいぐるみを渡される。