第3章 ライバルは三ツ谷、その男。
〔大寿side2〕
最初はそこまで気にはならなかったが、ただ、最近は微妙だ。
イライラする気分をスッキリさせようと、待たなくてもいいのにを待つ自分を嘲笑いながら、三ツ谷が部長を務める部室へ向かう。
部室に着いて、ザワザワする部室の扉に手を掛けて、中から微かに聞こえる声に手が止まる。
『うん、大好きだよ』
の声だ。
冷静にモノを見る、考える事が出来なくなる。頭に血が上るのを感じる。
その言葉は誰に向けて発せられたモノなんだ。
足は無意識に教室へ向いていた。
「何やってんだ、俺は……」
らしくねぇと苦笑しつつも、妙な胸騒ぎ、血が滾るのに冷える体を動かして、スマホを取り出す。
にメッセージを送り、下駄箱へ。
靴を履き替え、下駄箱の近くでしゃがみ込む。
静かな場所は好きだ。一人で教会へ行くのもしょっちゅうだ。そこに誰かを連れて行く事はほとんどねぇのに、俺の悪口に怒って泣きじゃくるを、何も考えずに教会へ連れて行った事を思い出す。
あれも、今までの好きだと言う言葉も、嘘だったとは思えない。
そう思いたいのか、俺は。
先程の言葉を思い出しては、イライラが募る。
複数の足音がして、ふとそちらを見る。
見覚えがある二人の姿が視界に入る。その後の二人のやり取りに、体は自然と動いていて、久しぶりに必死になる気がした。
この俺が、女一人の為にここまで振り回されるんだから、笑える。
に触れる三ツ谷の背後に立つ。
驚いたような表情のから視線を外し、三ツ谷を見下ろす。
今の俺の感情は、イライラ所ではなく、腸が煮えくり返る思いだ。
腹の底から黒い何かが湧き出すのを、止める事はしない。
「人のモンに手ぇ出すってんなら、いくらテメェでも容赦しねぇぞ、三ツ谷」
「あ? そんなにが好きだっか、お前」
特に驚いた様子もなく、余裕すら感じられる三ツ谷の笑みに、再び怒りが湧いてくる。
三ツ谷の胸ぐらを掴み、力を込める。
「大寿君、駄目っ!」
俺の腕を掴むに目を向け、妙に冷静になる頭で考えた。
そうか、俺は。
自分の行動に俺は確信した。