第3章 ライバルは三ツ谷、その男。
〔大寿side〕
女から手紙をもらうのは、何年振りだろうか。
押し付けるみたいに手紙を渡してくるその女は、俺を見上げたまま目を真っ直ぐ見つめる。
俺の目をこんなに真っ直ぐ、じっと見つめるような女は妹くらいしか知らない。
俺にビビって避けている奴らばかりの中、その女の行動は新鮮で、反対に困惑した。
ニヤニヤしたり、突然触ってきたり、思い出せば出す程変な女だ。
ラブレターと言われた手紙には、女特有の丸みを帯びた小せぇ字が並ぶ。
「意味分かんねぇ……」
そう言いながらも、俺はに興味を惹かれたのは事実で。
付き合う事になり、一緒にいる事が増えてくる度、あれだけ退屈だった学校も、少しは退屈しなくなっていた。
何にでも興味を持って、突拍子もない事を言い出したり、俺を当たり前みたいに格好いいと、好きだと言う変に大胆な所もある、三ツ谷の言うように怖いものなしの変わった女。
見た目は、首中程までの黒髪にメガネを掛けて、小柄で華奢な体を大き目のカーディガンで包み、他にはこれと言って特徴もなく地味。
ただ、メガネと長めの前髪で隠れてはいるが、メガネを外してよく顔を見ると、なかなか可愛い顔をしている。
特に、俺をじっと見る時はもちろん、好奇心に輝いた時も、キスをする瞬間に期待で揺れる時も、全てを物語る目が気に入っている。
普段は色気なんて微塵も感じないが、キスをしてトロけた顔に余裕を崩され、衝動的にシャツのボタンを外して、妙に甘い匂いのする首筋を軽く噛む。
邪魔が入らなかったら、少し危なかったかもしれないと苦笑する。
正直、自分がをどう思ってるのかは、何となくしか分からない。
もちろん退屈はしねぇし、反応とか他にも色々可愛い奴だとも思ってるし、好意的でもある。
だからこそ、遠ざけていた面倒な女相手に時間を使い、キスだってするわけだが。
俺は、とどうなりたい。をどうしたい。
ある日の放課後、普段は俺にベッタリなが、珍しく三ツ谷と話があるから先に帰れと言い残し、部室へ向かった。
は元々三ツ谷と仲がいいらしく、よく二人が一緒にいるのを見かける。