第12章 爆豪日和?!
一心side
「なぁ…爆豪…」
「…………。」
終始無言の爆豪に俺はムグムグと口を動かす。
現在二人で下校をしているのだけれど、いつもなら俺の前を歩く爆豪が今日は後ろを歩いている…さらに俺が後ろを振り返ろうとすれば、凄まじい殺意が背後から飛んでくる訳で…後ろも振り向けず…ただ一列に並んで少し距離を開けながら歩いている訳で…
(これって…一緒に帰ってる事になるのか?)
と少し疑問に思いながら俺は駅に向かう道を歩いている。
(……。無言っていうのも気まずい…)
「……………。」
俺は昨日爆豪が言っていた事が引っかかっていた。
『クソ!クソッ!!あいつが…!!一心が知らねぇうちに遠くなっちまった!!俺は……せっかく……!!クソッ!!』
(あ”あ”あ”〜!……クッッソォ!!わかんねぇ!!記憶なくなる前の俺はどんなんだったんだよぉおおおおお!!遠くなっちゃったのか?!なんで?!どのように?!?!どういう所が?!?!爆゙豪゙どの゙距゙離゙感゙が゙わ゙がら゙な゙い゙
あんなに辛そうに悔しそうにしてたのに解決してやれない…!!グワァアアアア!!
でも本人に直接こんな事聞けない!!盗"み"聞"き"し"た"の"が"バ"レ"る"!"!")
心の中で雄叫びをあげていると爆豪が距離を詰めて来たのがわかった。そしてただ一言小さく
「…今週土日…てめぇ暇だろ」
と、爆豪らしい訪ね方をしてきた。
「……。あ、うん…暇…」
爆豪は少し間を開けて言いずらそうに
「………泊まりにこいや」
と言ってきた。俺は予想外の言葉に振り返り
「……へ?」
と間抜けな声が出た…
爆豪は不機嫌そうな顔をしながら顔を逸らしチッと舌打ちをする。
「………あ、うん。うんうん、行く…行きます!…行かせて頂きます!!」
(爆豪が誘ってくれた!!爆豪が誘ってくれた!!!爆豪が!!!!誘ってくれた!!!!!)
さっきまでの悩みがジワジワと溶けるように無くなり、自然と頬が上がってしまうのを感じる。
爆豪はチッと舌打ちをしながらいつものように俺の前を歩き出した。俺はその後ろをピッタリついていく
「……ッその顔やめろ!!んで近ぇ!!離れろや!!!」
「え〜?」
自分自身でもよく分かった。顔がニマニマとニヤついている事、やめろと言われても自然になるのだから仕方ない