第11章 ワクワク!?第一回学校っぽい事!!
一心は出久をその場に残し人の波にのりながら麗日の手を掴み何とか壁際まで来たものの戻る事が困難となっていた。
「ッ…飯田!!」
一心は飯田の名前を叫び余裕はあまりない顔でニィッと笑う
「……!!」
(言葉君…僕に託すという事だな!!そうだ…君なら…緑谷君なら…兄なら…こういう時…!!)
「麗日!!飯田に手を伸ばして浮かせろ!ちょっとずつこのまま…近付くぞ!!」
「う、うん!!」
飯田もこっちに近付き手を伸ばすももう少しという所で届かない。何度か空振りしやっと麗日の手が届き飯田体が浮く。ズボンを捲りあげ、エンジンを起動する
「ぬぅううぉぉおおおおお?!?!」
グルグルと回ったあとビターンッと非常口のドアの上の壁にぶち当たる。
「皆さん!!!大丈ーーーー夫!!!」
全員の動きがピタッと止まり、飯田に目線を向ける
「ただのマスコミです!何もパニックになる事はありません!大丈ーー夫!!
ここは雄英!!最高峰の人間に相応しい行動を取りましょう!!」
やっと落ち着いた人の波にため息が出る。
「あ、あの…言葉…君…あ、ありが…と…」
両腕で必死に庇っていた麗日との距離が物凄く近かった。麗日は顔を真っ赤にしている。
「……ッ?!?!ごご、ごめん必死で!!苦しかったよな?!」
慌てて腕の間から解放する。
「ぜ、全然大丈夫! むしろすごく助かったよ!!うん!!!」
アハハハ…とぎこちない笑みを二人でしていると一心の腕にドンッと出久が絡みついてきた。
何だかその顔はどこか拗ねているように見えた。
(あ…もしかして、放置したから怒ってんのかな…)
「ごめんな出久そっちに戻れなくてさ」
優しく頭を撫でてやると機嫌が治ったのかニコッと笑った。
「……!うん、大丈夫!」
外ではパトカーの音が聞こえ、マスコミは撤退し、それと共にごった返していた生徒達も解散して行った。
やっと隙間が出来た空間に一心はやれやれと肩をなでおろしていると廊下に飯田の眼鏡を見つけた。
(…ヒビ割れ無しかな?)
飯田は切島と上鳴に救出され、麗日は個性を解除した。
「飯田、お疲れ様!かっこよかったぜ!眼鏡はホコリだらけだから一回拭いた方がいいだろな」
「あぁ、ありがとう言葉君」
眼鏡を受け取った飯田は柔らかい笑みを浮かべていた。