第8章 ついに来た戦闘訓練!!後編
チラリッと視線をずらすと瀬呂が隠れていた場所が見えた。そこに確保された瀬呂が転がっている。
ハッとした
(俺は…いつの間に瀬呂が隠れていた部屋に誘導されたんだ…?!)
再び目線を戻し黄丹色の瞳を見つめながら頭を整理する
(わざと視界から外れなかったのも距離を合わせていたのも確保テープを何回も巻き付けてきたのも蹴りも…全部このためか?!俺が周囲まで気を使えない程にするため……)
両腕を動かそうとするもガッチリと抑えられビクとも動かない。
(腕がダメなら足だ!!)
片足を上げ言葉を蹴る……が
「……ッ!!」
(硬化の俺が言うのもなんだがクソ硬い!!さらにビクともしない!!結構な蹴りを入れたぞ今!!これも個性か?!)
言葉は悪戯っぽく話した
「このマスクのおかげで俺がいつ個性を使ったか分からなかっただろ?」
「確かにまっったくわからなかった…避けるのに集中してる時か?これは…」
足でチョンチョンと蹴った部分を突く。マスクで口は隠れて見えなかったが、目がニコッと笑った。
そんな話をしてても俺は逃げるために時折腕を動かしたが、ビクともしない。
足で押し返そうとしてもダメだ、むしろ押し返す所か足を言葉の体でズズイッと押し戻された。
……言葉との距離が更に近くなった
(…ちけぇ!おいおい…!)
瀬呂に目線を向けると瀬呂がめっちゃ頷いてる。気持ちわかるといった感じか
「はぁ〜…しょうがね、確保テープに巻かれるか」
(瀬呂も許してくれんだろ…男らしくねぇが…)
そう言うと何故か言葉は視線をソーッとズラした
「……ん?まさか、さっきの戦いで使い切ったか?!」
言葉は頭をブンブンと横に振る
(ん?じゃあなんだ…)
俺は視線をキョロキョロと向け床を見てみると確保テープが一つ転がっていた
「あ〜…まさか俺が腕を掴んだ時か」
「フリハラッタトキニ…オトシタ…」
言葉はやらかしたというふうな顔をしキュッと口を閉じた…俺はポカーンとした顔をしプッと吹き出した。
「じゃあある意味言葉を足止めできてるって事になんのか?」
「まぁ、そゆこと…。俺が手を離した隙に切島に逃げられそうだし…な」
またしても腕を動かした俺を抑える。
「「………。」」
(じゃあまだチャンスありか?!どっかでテープを取りに行くはずだ…我慢比べといくか!)