第8章 ついに来た戦闘訓練!!後編
もう少しで手が届きそうという所で言葉に避けられる。けど俺はもう一度手を伸ばす。それすらも空振り、その隙に言葉は自分に絡みついていたテープを強引に引き剥がした。
「すまねぇ瀬呂せっかくのチャンスを…!」
拳にググッと力を込める。
「やっぱりこの部屋に核は無いか〜」
(そう、この部屋に核はねぇ!作戦は総崩れだが、時間稼ぎだ!この建物中に瀬呂のテープをしこたま貼りまくった!なんなら核に似せたダミーも作ってある!ダミーも核もテープでぐるぐる巻きにして一見見ただけじゃ分からねぇ)
体を硬化させ、気合いを入れ直す。
(とにかく俺は時間稼ぎだ!出来れば言葉の確保をして常闇の所に行きたいけどな)
「よっしゃ!!行くぞ言葉!!」
俺が走り出すのと同時に言葉も走り出した
拳と拳がぶつかる瞬間……
言葉が…消えた……
一瞬頭が真っ白になる…けど瞬時に理解した。
(いや、消えたわけじゃない!!しゃがんで俺の視界から一瞬で外れたんだ!!)
勢い良く言葉に足払いをされ、体のバランスが崩される
(ダメだ!!倒れたら一気に畳み掛けられるぞ?!整えろ!!おぉおおおおおとぉおおおおおこぉおおおおおお!!)
何とかバランスを整え、倒れ込むのを防いだ。
(俺も伊達にヒーロー目指してねぇんだ!!)
「!!!」
息をする間もなく言葉が確保テープを持ちながら身体に巻つけようとしてくる。
(やばい!!)
俺は巻き付けられる前に確保テープを切った。
(近すぎる一旦距離を!)
一本後ろに下がれば、言葉はすぐさま合わせて距離を詰め、何度も確保テープを巻き付けようとしてきた。
俺は慌てて切る
(クソ!!さっきまで視界から外れてたくせに俺の視界から今度は外れねぇ!!距離も変わらねぇ!!)
更に蹴りまで入れてくる始末
(重っ!!一撃一撃が重すぎる!速い!見えねぇ…!)
苦し紛れに一心の腕をなんとか掴むもすぐさま振りほどかれる。
ドンッ!
俺の背中に何かが当たった。
壁だ
トンッ
もう一つの衝撃は言葉だ。
俺の両手首を完全に壁に押さえつけられた
「………。」
言葉が出なかった。呼吸をするのも忘れるほどに
言葉はゆっくりと顔を上げ、しっかりと俺と目線を合わせた。