第5章 本当の入学初日
「……ごめん…本当にごめん…」
「いいって気にすんな!」
緑谷が泣き止む頃には制服が中々のびしょびしょになっていた。ついでに一心のハンカチも……
「ハンカチ洗って返すよ!」
「いいって〜」
ハンカチを受け取ろうとするも、ガバッと隠してしまう。その光景に笑みが零れる
「分かった分かった!じゃあ、頼むわ緑谷」
「……出久」
(……ん?)
「……出久って呼んで欲しい」
モジモジとハンカチを弄りながらそう頼んでくる。
「全く…!!出久は可愛いな〜♪」
頭を撫でてやると顔を真っ赤にした。
「……あ!そうだ」
スマホをスっと取り出しニィ〜と笑い緑谷にガバッと抱き着く。
「うわぁぁぁ?!?!い、いいい、一心君?!」
「出久とはまだ写真撮ってなかったからさ!撮りたいなぁ〜って……ダメか?」
「だ、ダダダダダメじゃない!!凄く!!」
(ち、ちちち近い!!!耳元で声が!背drftgyふじこlp;@:「」)
「出久!!カメラ!!」
「は、はい!!」
カシャ!!
「へへ〜♪良い顔!!」
ニヒヒッと笑う
「ッん”ん”ん”ん”!!」
出久は口を手で多い、心臓を抑えた。
「出久どうした?!出久?!出久?!?!」
「だ”い”じ”ょ”う”ぶ”」
(だ”か”ら”名”前”連”呼”し”な”い”で”!!)
出久のそんな心の声も通じず一心にベタベタ触られ名前を連呼されオーバーキルをされた。
………………。
校舎を出た一心は大きく背伸びをする
「そんじゃま……帰りますか〜♪明日からまた大変そうだしゆっくり休まねぇとな」
「そうだね!」
そんな話をしていると誰かに肩を掴まれた。振り返ってみると教室で別れた飯田がいた。
「あれ?まだ帰ってなかったんだな!」
「……。色々と話が盛り上がってな」
(君の話で盛り上がってたとは言えない)
「ゴホンッ……それで緑谷くん指は治ったのかい?」
「リカバリーガールのおかげでもう大丈夫だよ」
三人で歩き出す
「しかし、相澤先生にはやられたよ。俺は『これが最高峰!』と思ってしまった!教師がウソで鼓舞するとは……」
(いや、する気だったよ。
イレイザーヘッドはそういう人だから
けど、撤回したんだ。出久が頑張ったから…可能性を感じたから)
そこまではあえて口にせず心の中に閉まっておこうと思った。