第5章 本当の入学初日
「緑谷〜!!ごめん、お待たせ!!帰ろ〜!」
「一心君!全然大丈夫だよ」
保健室の前で立っていた緑谷と合流し歩き出す。
「大分疲れてそうだな…」
「……うん」
ドヨーンとしている緑谷、話を長引かせるのもあれかと思い本題を切り出す。
「あのさ、単刀直入に言うと俺昔の記憶ないんだわ」
「……え」
ドヨーンとしてたのはどこに行ったのか緑谷はシャキッとした姿勢をし、足を止める。
一心も足を止める。
「爆豪はもう知ってる。試験会場が一緒だったんだ…そんで絡まれてクソナードが言ってた通りだとか訳分からないまま絡まれて本当に大変でさ…というかクソナードって誰?!って思った」
タハハ…と笑う。
「ボール投げでああ言ったけど記憶戻ったわけじゃなくて……本当に直感だったよ。
俺が探してた相手は緑谷なんじゃないかって」
緑谷は下を俯き制服をギュッと掴み震えていた。
(傷付けたかな…そりゃそうか言うの遅くなったし)
「……ごめんな、言うの遅くなって」
頭をすっと撫でようとしたが、緑谷の頭に触れることは出来なかった。
「………!!!」
緑谷に抱きしめられる
力強く…力強く…
「ごめん!!僕、何も知らなくて!!ごめん!!ごめん!!僕の事忘れちゃったんだ!!って思った!!僕の事は忘れてかっちゃんの事は覚えてるんだ…!!って思ってショック受けて……ッッ!!」
小さく震える身体をギュッと抱きしめた。
「緑谷が謝ることなんて何も無いだろ?俺が忘れちまったから緑谷に不安な思いさせた…本当にごめんな」
頭を撫でてやると緑谷の目から大量の涙が零れた。
(本当に悪い事をしたな…緑谷は覚えてるのにもう一回名前聞いてさ…)
「……もう一回俺と友達になってくれる?」
その言葉に緑谷はガバッ!と顔を上げた。
酷い泣き顔でこう言ったんだ。
「何言ってんだ!!
『今』も『昔』も友達だろ!!!」
「……!!……そうだな、そうだよな」
(俺はまた地雷を踏んだな…)
……そう思ったんだ