第5章 本当の入学初日
そんな事を考えていると、一心の事はお構い無しに話を続ける。
「……アイツに何言われた」
(……なんだかいつもより冷静だな爆豪。)
「いや、大したことじゃない!応援してて〜みたいな奴だ!」
ヘヘッと笑う一心の瞳を横目でジーーッと見てくる爆豪。言い方は違えど意味的には一緒なはずだが一心の心が少し傷んだ。
(これは素直に何言われたか言うべきか…でも何となく…緑谷のあの言葉を…覚悟を…簡単に誰かに話したくねぇ…)
そう思ってしまった。
「……そうかよ」
そう言って歩き出そうとする爆豪だが一歩踏み込んでまた止まった。
「おい、しっかり目ぇかっぴらいて見とけ
……一心」
そう言うとまた歩き出した。
「……………………。」
ポツーンと取り残される。
(名前…爆豪に初めて呼ばれたなぁ……
ってか……なんで俺、二人に見てほしがられてんだ…まぁ、うん……応援しよ……うん……そうしよ)
………………。
そんなこんなで、次は爆豪と緑谷の番
飯田と並んで現在見ている。
「頑張れ〜!」
一心の声に緑谷は嬉しそうにし、爆豪はガンを飛ばしてくる。
「イチニツイテ、ヨーイ……ドン!」
走り出した爆豪は両手を構える。
「爆速!!!ターボ!!!」
個性で一気に加速しゴールする。そして次に緑谷がゴール。
爆豪は煙が出る両手を見ながら緑谷に視線を移し一心に目線を向ける。
(うん、そんな顔をしなくても見てた見てたよ〜ちゃんと!)
見てたという風に手をグーパーしてみると満足したのか目線を逸らした。
(それにしても……緑谷はなんで個性を使わなかったんだ…)
「なぁ飯田…緑谷の個性って何?」
「恐らくだが身体強化みたいな物だろう。ただ……使った後は……見るに堪えない…
あれだけの強い個性なりの副作用なのか…」
飯田の反応を見る限り、本当に大変な事になるんだろうと思った。
「なるほど…そりゃ、使うの躊躇うわなって話だな」
全員が走り終えた所で次は体育館に移動。