第17章 忘れられない水曜日 中編
集合場所に到着するのと同時にバスがやって来た。
飯田の提案により、スムーズに乗れるよう番号順に二列で並ぶ事になったが……
「くそう……こういうタイプだったか……」
思った席の配置じゃなかった為クソ落ち込んでいる……そんな飯田の隣で「意味無かったな〜」と芦戸が言った。
(飯田すげぇ張り切ってたのにな……ドンマイ)
一心は心の中でそう思いながらタハハ……と笑い、隣に座っている轟は目を瞑ってリラックスし、前の耳郎はスマホを触り、その隣の爆豪は窓の外を見ている。
一心は少し視線をずらし密かに震える自分の左手を見つめ強く拳を作った。その時、出久の隣に座っていた梅雨ちゃんが
「私思った事はなんでも言っちゃうの緑谷ちゃん」
「あ?!ハイ?!蛙水さん!!」
「梅雨ちゃんと呼んで」
と言うと出久は照れながら「つ、つぅ…」と声を漏らした。
その後
「あなたの個性【オールマイト】に似ている」
「え?!?」(ッ!!!!!!)
その言葉に驚く出久と共に表情や動きには出さないが一心も内心凄く驚いた。
「そ、そそそそうかな?!いやでも僕はそのえー」
出久は慌て過ぎて上手く反論出来ないでいる。そんな出久に助け舟を出そうとした時切島が会話に割って入る。オールマイトは怪我はしないため似て非なるあれだと言ってくれた。
切島のナイス反論に二人は胸を撫で下ろす。
その後、切島が上手く話題を変えてくれたおかげで何とかなりそうだと一心が確信したその瞬間……
突然左腕の震えが酷くなった。
(まずいッ!!)
チラッと隣に目線をやったが轟は相変わらず目を瞑ったままだ。見られていない事にホッとしながら袖を少し引っ張り左腕を隠し右腕でしっかり抑え込み誰が見ても違和感の内容に姿勢を整える。
「止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ……ッ!!」
誰にも聞こえないようにそう呟けば震えが少し緩和され、副作用で体温が上昇し額から汗が垂れる。
汗を拭おうとした時、爆豪がいきなり立ち上がりいつもの様に怒り声をあげた。その声に驚き思わず身体がビクッと跳ね上がる。
「んだとコラ出すわ!!!」
一心は(なにを?!)と心底思いながらポカーンとしていると上鳴が爆豪の性格を謎のボキャブラリーで例え、それにまた爆豪がキレ散らかす。