第17章 忘れられない水曜日 中編
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相澤side
言葉を呼び出し、現在職員室……
俺以外の教師は部屋に居らず、言葉と二人だけだ。
他の教師が居たら場所を変えていたが、運が良かった。特に山田、ミッドナイト、ブラドのこの三人が居なくて良かったと思う。……言葉を捕まえて離さなかっただろうからな……
言葉は今、俺の椅子に座りデスクで懸命にノートを写している。個性を使っているからかペンの動くスピードが凄まじく、目線の移動も1ページに一回のみ。
便利な個性だと常々思う。その副作用がなければ尚更……
山田の椅子に座りながら俺は集中している言葉の横顔を見つめた。
(言葉の顔色は悪くなさそうだな……職員室に来るまでの道中も特に以上はなさそうだったし、飯もたらふく食べたらしい……。メニューを一つ一つ言ってたが、その身体の何処にそんな量が収まるのか謎でしかない……。次の訓練で気持ち悪くならなきゃいいが……)
そんな事を考えているとチラッと言葉と目が合ったが、視線を直ぐに逸らされる。そしてどこか気まずそうに口をムグムグと動かした。
(………。俺が何故言葉を呼び出したかというと、一つは体調の確認、それともう一つはこの反応を解消する事だ……。
言葉が何故こういう反応をしているかというと、恐らく俺から今回の事で除籍と言われるかもしれないという思いがあるのだろう。山田とリカバリーガールに話は聞いているし、今回の事で元々除籍にする気も無いんだが……。まぁ、そういう考えになるのも俺の日々の言動が原因か……。
さっきまでは何ともなかったから山田が上手い事やってくれたと思ったが、長時間俺と居るとやっぱり頭に過ぎるか……)
俺は心の中でため息を吐きながら言葉の様子を聞いた時に二人から言われた事を思い出した。
『消太〜あんまり言葉をビビらせんなよ?かなりビクついてたぞ?言葉の事心配なのは痛いほど分かるし除籍っていうのが言葉の色んな歯止めになっているのも分かるけど……嫌われても知んねぇよ?
まっ!そのときゃ俺がフォローしてやるけど!』