第17章 忘れられない水曜日 中編
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時間は少し遡り食堂を後にした一心は、出久の連絡に気付かないまま廊下を足早に歩き教室のドアにたどり着いていた。
一心side
俺は少し乱れた呼吸を整え、ドアを開けた。教室に今は誰も居ないと思っていたのにポツンと一人予想外に居たので、思わず身体がビクッ!と震えた。相手も誰か来ると思ってなかったのか身体をビクッと震わせた。
「ビックリした!!青山か〜!ごめんな!驚かせて!」
俺が笑いながら謝ると、青山はいつものキラキラとした調子で「パ ドゥ プロブレム!(問題ないさ!)」と答えた。
「青山っていつも食堂で見かけなかったけど、教室で昼飯食べてたんだな」
「ここの食堂は僕の口に合わないからね☆」
「そっかそっか!……なら、今度俺もいっs」「チーズあげる♪」「モゴッ!」
青山は俺の口の中に突然チーズを差し込んだ。突然の事に戸惑いつつも俺は差し込まれたチーズを口に頬張り、モグモグと口を動かした。
「ありがとな!これって前くれたやつだよな?これすげぇ美味い!なんていうやつなんだ?」
「ポン・レヴェックチーズ☆まろやかで食べやすいんだ♪」
もう一ついかが?とばかりにグイッと包みの上に置かれたチーズを差し出す。
「ありがと!青山は優しいな」
俺はもう一つ手に取り口に放り込んだ。さっき昼飯食べたばかりだけどこれなら何個でも食べれそうに思う。
「所で君がこんな時間に教室に戻ってくるなんて珍しいね?何か用事だったんじゃないかな☆」
俺は青山の言葉にハッ!とした。
「あっそうだ!ノート!!」
俺は自分の席に向かおうとしたが、ギュッと足を止め「青山チーズありがとな!」と言うと青山はウィンクをした。
再び自分の席に歩き出し、机の中を確認。
(さてとノートノート……と……。あった!これだこれ!よし、出久に感謝しながら早く写して返すか……)
席に座りペンを持った瞬間、教室のドアがガラッと開きそこにはイレイザーヘッドが立っていた。目がバッチリと合う。
「言葉ちょっと職員室来い」
「えぇ〜…ノート写さなきゃなんだけど」
「持ってきていいから、早くしろ」
俺は渋々必要な物を携え、教室を後にした。
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青山side
一人になった教室でゆっくり深呼吸をする。
「………。……………。
一緒に……か…」