第17章 忘れられない水曜日 中編
そして、出久は密かに心で思う。
(あ〜…まぁ、勿論確かにそれもあるんだけど……。僕のノートの所々に一心君の必殺技の名前とか一心君のヒーロー名とかもしもヒーローとして一緒に活躍する時コンビ名として皆になんて呼ばれるのかなぁとか色々と妄想が所々に書いていたりするから……何がなんでも渡す訳には行かないんだよね……流石に引かれちゃうかも……それだけは絶ッッッッッ対に嫌だ〜〜ッ!……今度綺麗に消しとかないと…)
グッ!と出久が決意していると後ろから「緑谷」と声をかけられ、三人が視線を向けると相澤が歩いてきていた。近くに来ると、相澤は空白の席を見つめ出久に視線を向けた。
「言葉は一緒じゃなかったのか?」
「一心君なら多分教室の方に……」
それを聞いた相澤は入れ違いになったか……と思いながら
「そうか、ありがとな」
とそれだけを言い相澤はスタスタと歩いていってしまった。その後ろ姿を出久は真剣な眼差しで見つめる。
(一心君に何があったのか先生は知ってるのかな?だけど、言える内容ならきっと一心君が言ってるよね……)
そう考えていると飯田に心配したように声を掛けられたので出久は「なんでもないよ」と答えた。