第17章 忘れられない水曜日 中編
「そういやさ、出久って案外器用なんだな!俺用のノート書きながら自分のノートも書いてたんだろ?もしそのせいで授業に集中出来てなかったんなら俺としてはすげぇ申し訳ねぇんだけど……」
一心がそう言うと出久は……
「え?!……あ!うん!僕も自分の器用さにビックリしたよ!アハハ、ハ」
明らかに慌てていた。その様子を見て全てを察した一心は身体中から汗が吹き出した。そして一心はバチンッと両手を顔の前に合わせ「ごめん!!」と勢いよく謝った。その様子に次に出久がアワアワと慌てだした。
「全然大丈夫!!むしろ僕からしたらありがとうって感じなんだけど!いや、ありがとうって言うのはあれであれなんだけど……!!とにかく僕のことは気にしないで!!ゆっくりでいいよ!!別に明日その授業ないし!!」
「いやいや、ありがとうは俺のセリフ過ぎるだろ?!出久本当にありがとう!!とりあえず今からノート写して今日中には返せるようにするから!そしたら出久も余裕持って自分のノートに書けるだろ?って事で俺先に教室戻ってるな!」
一心は食器類をサッサと片付け始める。
「一心君本当にゆっくりで大丈夫だよ?!っていうか次演習あるし、朝から色々あったんだから無理しない方が……」
「大丈夫大丈夫!パパッと終わらせるからさ!それにお腹いっぱいだし元気もいっっっぱいだから逆にどっかで発散しないと演習楽しみすぎてソワソワしてくるし!」
一心はニヒヒッと笑いながらそう言った。その後、すっと柔らかい笑みを作りながら、出久の頭を優しく撫でた。
「色々心配してくれてありがとな。
次は俺用のノートとか作らずに出久のノートそのまま見せろよ?むしろそっちの方が手間かかんねぇだろ……まぁ、嬉しかったけどな!
それじゃ、三人ともまた後で!」
一心はいつものように笑いながらヒラヒラと手を振り走早に歩いていった。
一心の背中が見えなくなったところで麗日と飯田が話始める。
「一心君って本当にああいう所あるよね〜」
「確かにな……これがまた無自覚というのが恐ろしい」
麗日と飯田は目の前で耳まで真っ赤になっている出久に目を向けやれやれと笑った。
「本当に……本”当”に”、”も”う”!”!”」
(一"心"君"の”ノ"ー"ト"書"い"て"良"か"っ"た"!"!"
あ"り"が"と"う"ご"ざ"い"ま"す")